箱館戦争・第六話
歴史上の戦いシリーズ第三弾、箱館戦争第六話、最終話です。
第一話は開戦までの経緯
第二話は箱館戦争の序盤
第三話は箱館戦争の中盤
第四話は箱館戦争の終盤
第五話は簡単なまとめ
について述べました。今回は、主要人物にスポットを当てたいと思います。
①榎本武揚
総裁として箱館戦争を戦った榎本は、こののち新政府で顕職を歴任します。これをもってして、「二君に仕えた不忠者」というレッテルを貼られることが多いです。福沢諭吉には、「やせ我慢の説」という書簡の中でボロクソに酷評されたしね。
だけど、その手の批判は表面しか見てないことが多いです。榎本は、降伏を決意した明治2(1869)年5月17日の夜、みんなで最後の酒盛りをしている中、一人で自室に戻って切腹しようとしました。あくまでも徳川家に殉ずる覚悟だったのです。
側近が榎本の様子がおかしいことに気付いて部屋に駆け付け、まさに切腹しようとしていた榎本を涙ながらに押し留めたため、結果的に生き長らえる事になり、確かに二君に仕えました。だけどそれは、榎本が有能だったから必要とされただけのこと。在野でお気楽な立場だった福沢ごときに、榎本を批判する資格はないと思いますね。
②大鳥圭介
この人ものちに新政府に仕えて外交面で活躍した他、学習院の院長もやってました。ただ、戊辰戦争における彼の評価は物凄く低いです。なんせ負けっぱなしだったから。
でも、ロクに補給も続かない中、壊滅的な敗北をする前に撤退し、江戸から箱館まで転戦した指揮能力は、評価しなきゃいかんと思います。適塾出身で才子肌、実戦経験はほとんどないという状況で、良く頑張ったんじゃないですかね。
土方歳三と同格だったこともあって、何かと比較されて酷評されるんですが、土方は局地戦の勝敗を決する小隊長タイプであり、大鳥は大局の勝敗を決する司令官タイプなので、そもそも比較すること自体に無理があります。
旧幕府軍は、物量的に大局で勝てる要素はなかったけど、そのぶん気合いとか根性で局地戦に勝てる「意気込み」だけはありました。だから、局地戦では勝っても大局では負けることが多く、それが結果的に土方>大鳥という図式に当てはめられちゃうのよね。
でもそれはあまりにも単純でしょ。 得意分野というか、持ち味が違うんだから、同じ土俵で評価するのは難しいし、どっちが上だ下だって論議はナンセンスだと思いますね。大鳥だって立派な人ですよ。
③土方歳三
そして私の大好きな土方ですが、劣勢だった旧幕府軍の中で、彼の率いる隊だけは常に奮戦しました。ただこれは、新選組のイメージとか、土方自身のイメージが先行し過ぎて、良いとこばっかり語られてるという部分もあります。
宇都宮では、大鳥が体調不良で土方が指揮を執ったことがあるのですが、その際、司令官という立場にもかかわらず、自ら先頭に立って深入りして敵の伏兵に翻弄され、数でも兵器の質でも勝りながら、惨敗を喫してます。決して不敗ではありません。
また、箱館戦争の終盤、土方隊が二股口で奮戦し、他の隊は松前口と木古内口で惨敗したため、土方の指揮能力を称賛する声が多いんですが、松前口と木古内口は新政府艦隊の援護砲撃が相当シンドかったのに対し、二股口は内陸だからそういう心配もなく陸軍同士の勝負で済みましたからね。そもそも勝てる見込みが全く違うのよ。
なんかね、こういう部分をちゃんと語らずに、土方を贔屓するのはおかしな話です。私は土方ファンだからこそ、このあたりは厳粛に受け止めるべきだと思ってます。
まあ、そういったことを踏まえた上でもね、新選組副長として刀一本で渡り合ってた男が、ほんの僅かな間に近代戦に対応できたってのは、やっぱり只者じゃないと言えるでしょう。その喧嘩屋としてのセンスは大したもんだと思います。
以上、歴史上の戦いシリーズ第三弾、箱館戦争でございました。
やっぱり、箱館戦争だけにしといて良かった…。
戊辰戦争全部を取り上げてたら、全30話ぐらいになってただろうね。
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